日本精工は今月4日、電動車いすをはじめとしてパーソナルモビリティを手がけるベンチャーであるWHILL, Incとの資本提携を発表した。介護福祉用途や、より自由で安全・快適な移動手段の需要増大が見込まれる中、WHILLは誰もが乗りたがるモビリティを実現すべく、新しいパーソナルモビリティの開発に取り組んでいる。そこで本レポートでは、軸受を中心として長年技術開発を行ってきた日本精工と車椅子分野のこれまでの技術開発の蓄積を、特許俯瞰解析ツールTechRadarにより解析・可視化することを通じて、WHILLがどのようなパーソナルモビリティを実現しうるか、また両社の提携の今後について探った結果を紹介する。
Read Moreビジネルモデル特許とは、ビジネス方法・アイディアがICTを利用することによって実現された発明である。インターネットの発展に伴い、1998年~2000年初頭に大きな話題となり、日本においては2000年に出願が急増した。このブームの火付け役は、米国で1998年に起こったステート・ストリート・バンク事件であり、これによって製造業以外の業種 (金融、広告等) でも特許権を戦略的に取得・利用することが注目された。有名な例としては、1999年に特許登録された米Amazonのワンクリック特許が挙げられる。
出願数はブーム当時の2000年をピークに減少し続け、6,000件程度に落ち着いた。しかし、2011年からは出願件数が増加傾向に転じ、2015年は約7,000件となっている。これは、IoTやAIの進展による第四次産業革命において、再びビジネスモデル特許が注目され始めた可能性を示唆している。
本レポートでは、日本国公開特許公報データをもとに、ビジネスモデル特許に関する動向分析を行った。
2017年1月にDIC株式会社が太陽ホールディングスと資本業務提携を行うことを発表した。DICは、印刷インキからスタート、現在では自動車、エレクトロニクスなど多様な業界に向けて製品を提供する総合化学メーカーである。一方太陽ホールディングスは、ソルダーレジストなどのエレクトロニクス業界向け製品を提供する化学メーカーである。DICは自社事業の川下にあたる太陽ホールディングスとの提携により、マーケティング力を強化、市場が求める次世代製品の開発に取り組んでいくと発表した。そこで今後市場に投入される可能性がある製品を明らかにするため、両社の特許ポートフォリオを可視化、提携によるシナジー効果を生み出す技術領域を特定する。
Read More日立製作所は竹類からカリウムと塩素を溶出させバイオマス燃料とする技術を開発したと発表。バイオマス燃料に不向きであると考えられてきた竹を有効なエネルギーとして活用できるバイオマス再生循環システムの実現に寄与するとのことである。日立製作所の発表では、放置された竹林の竹が広がり他の樹木の生育を阻害するという課題があげられた。竹林の手入れや伐採が求められるが、このために産業的に竹を有効活用することへの期待が高まっている。竹の産業的な利活用をより促進することで、竹林の管理が進み環境保全に資するものと考えられる。そこで、竹の利活用の方法を探るため、竹に関連する日本国公開特許公報を収集し、分析する。
Read More自動車に係る技術が急速な変化を示している。パワートレイン変化、自動車の情報化、さらには運転支援システムの高度化や自動運転など、より高度な制御技術が導入されることになるのであろう。これらの変化は自動車に搭載される電気・電子部品の増大につながり、今後市場としては大きく成長する可能性を秘めている。その基盤となる技術の一つにプリント配線基板がある。プリント配線基板はスマートフォン市場の急速な成長により市場を伸ばしてきたが、次のターゲットの一つが自動車であるとされている。そこで車載用配線基板に関する国内での開発状況とプレイヤーについて、日本国特許公開公報をリソースとしてクラスター解析を行った。
Read More最近、九州大学の森田教授のグループが、アジア初の新元素を発見し、「ニホニウム」と命名されたニュースが話題に上がったのは記憶に新しい。この研究には、理化学研究所の超伝導リングサイクロトロン加速器が欠かせない装置であった。同じく、日本原子力開発機構では、素粒子・原子核研究のみならず、物質、生命に関する研究が行われているが、これらでは、J-PARC(大強度陽子加速器施設)が重要な実験施設となっている。 これらの加速器は国産の技術で開発された優れた装置である。そこで、本レポートでは日本における加速器全般に関する技術の動向を調べるべく国内の特許情報を用いて、その開発動向を調べた。
Read More米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ (KKR) は、日立工機株式の取得を目的とした公開買付けを発表した。インフラなどに注力する日立製作所にとって工具が主力の日立工機はノンコア事業であり保有株を手放した。KKRはその受け皿となり、日立工機にとってもKKRのグローバルネットワークやリソースの活用がメリットとなる。これに先立ちKKRは、日産自動車系列サプライヤー最大手のカルソニックカンセイ、パイオニアのDJ機器事業、パナソニックのヘルスケア事業などの日本企業の買収を活発化させている。本レポートでは、KKR傘下企業の国内特許出願を対象に、各社の相乗効果を探った。
Read More自動車を取り巻くが大きく変化している。近年ではハイブリッド自動車や燃料電池自動車、電気自動車などといったパワートレインの多様化による環境負荷低減、さらには高度交通管制システム (ITS) や車車間通信、コネクテッドカーなど、外部との情報の授受に係る技術の高度化も進んでいる。このような自動車の変革は、ユーザーにとって特に身近な自動車内装および自動車とドライバーのインターフェース (以下、内装とする) にも影響を与えるものと考えられる。そこで、技術的な観点から自動車内装に対し、どのような研究開発がなされており、それがどのように変化してきたかを知るために、学術文献をリソースとした分析を試みた。
Read More先週末、米国カリフォルニア州マウンテンビューにあるGoogle本社を訪れて知財部門の責任ある立場の方と打ち合わせを行ってきた。当地では珍しい季節外れの小雨が舞っていたが、Google本社は活気に満ちあふれていた。まずは当方が用意していたGoogleが米国に出願した全特許公開公報の俯瞰図である。Googleには全社的なポートフォーリオは、存在しないことが推測された。これを知財責任者に尋ねると、Googleには多くの事業があるのだから、特許分布がばらついているのだと回答された。また、Googleは特許を用いて他社を攻める事はあまり考えていないが、攻められた時の準備はしているとのことである。
Read More16年末、サムスンのQD Vision買収に関する噂を認めたという報道がなされた。QD Visionは量子ドットディスプレイにおいて、世界でリードする企業の1つである。量子ドットとは、直径が数nm~数十nmの半導体微粒子であり、波長変換機能を有し、鋭い発光ピークを実現する。特にディスプレイ応用に注目されており、液晶ディスプレイのバックライトに活用することで、広色域と省電力を両立することができる。ディスプレイ領域という巨大市場を得た量子ドットは、ますます活発に開発されていくことが期待される。本レポートでは、量子ドットに関する1. 主な技術領域と動向、2. 主要プレイヤーの動向を明らかにする。
Read More自動運転車にとって、周囲の状況を把握する「目」は重要なパーツとなる。「目」の役割を果たす技術には、カメラ、超音波センサ、レーダー、LIDAR が挙げられる。このうち、LIDARは光検出により距離を測定する技術であり細かな物体の検出も可能だが、コストが高く、装置が大きいという欠点が指摘されていた。一方で、LIDARの欠点を克服し自動運転車に搭載する動きも見られる。必要性について議論の分かれるLIDARであるが、今後、自動運転車にとって不可欠なパーツとなるであろうか。また、日本企業はLIDARの開発にどのように関わっているであろうか。LIDARに関連する日本国公開特許公報を収集し、分析する。
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