最近では趣味の一つとして定着しつつある印象のある「3Dプリンティング」だが、3次元データを用いて材料を付け加えながら製品を造形する製造方法を総称して「付加製造(Additive Manufacturing)」という。付加製造には液状の硬化性樹脂を容器に溜めておき、紫外線やレーザーを照射しながら造形する方法や、主に金属製の粉末に対してレーザーや電子ビームで照射して溶融・凝固させて造形する方法などさまざまな種類がある。付加製造は複雑な形状の製品も作成可能で少量多品種生産に適しており、医療分野や航空分野等でも利用されている。当レポートでは、そんな注目が集まる付加製造に関して、開発トレンドと技術・課題について公開特許公報をベースに調査した。
Read More本年8月15日、中国の商務部と税関総署はアンチモン及びその製造技術等を9月15日から輸出許可の対象とすることを発表した。これによりアンチモンを中国から輸出する際には中国政府の許可を受けることが必要となる。
アンチモン(元素記号Sb)はいわゆるレアメタルで、2050年までに埋蔵量ベースでも使用量が超過する可能性がある金属の一つとされており、アンチモン鉱石の生産量のうちの48%を中国が占めている。またアンチモンのCIF輸入価格は2022年頃から急騰していて、中国の輸出規制が始まれば、アンチモンを利用した製品に大きな影響を与える可能性がある。そこで、日本国内でのアンチモンが関わる技術開発動向とプレイヤーを明らかにすることを目的とし、日本国公開特許公報を用いた俯瞰解析を行った。
太陽電池は1954 年にアメリカのベル研究所でシリコン製の太陽電池が発明され、1958 年に人工衛星の電源として搭載されたのが太陽電池の黎明期であり、そこから現在に至っては利用される材料に応じて大きく 3 種類に発展し、さらに細かくは数十種類の太陽電池があり、それぞれについて世界中で研究開発が行われている。リコー[7752]が2023 年に有機薄膜型太陽電池の量産を始める事がニュースになった。また、シャープ[6753]は発電効率の高い太陽電池の開発を発表しており、太陽光のエネルギーを電力に変換する効率が32.65%で、複数のセルを組み合わせた太陽光電池としては世界最高という。
Read Moreカーボンニュートラルは二酸化炭素による地球温暖化防止に対する取り組みであり、各国で目標を掲げ取り組みを活発化させている。日本では、2050年にカーボンニュートラルを目指す宣言をし、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を経済産業省を中心に策定している。二酸化炭素の削減のためには、そもそもの発生量を減らす以外に、発生したCO2を回収することが必要となる。そこでCO2回収に係る技術のうち、CO2の吸収や貯蔵に係る技術に着目した。日本国内での技術開発動向を把握するために、日本国公開特許公報をリソースとし、その開発推移や主要なプレイヤーについて分析を行った。
Read More二酸化炭素 (CO2) による地球温暖化防止に対する取り組みが世界的に活発になっている。CO2排出削減を目指し、燃料アンモニアの導入が検討されている。これは化石燃料など炭素を含む物質の代わりにアンモニアを燃焼させるというものだ。構造に炭素を含まないためCO2が発生しないが、窒素酸化物 (NOx) が生成される可能性がある。NOxは酸性雨の原因物質であり、温室効果ガスでもあるため、これを排出しては元も子もない。今後、NOx除去技術も重要な要素技術の一つになる可能性も考えられる。そこでNOx除去技術に関する開発動向とプレイヤーについて、日本国公開特許公報をもとに分析を試みた。
Read More2019年4月、日立製作所が主要子会社の1つである日立化成の売却を検討していることが報道されて以降、複数の有力子会社の再編を進めている。日立化成は昭和電工に売却、日立ハイテクは日立製作所の完全子会社となった。日立金属は一次入札段階に進み米ファンドなど4社が応札し、日立建機は2割程度の持ち株を残し売却との方向性が示された。日立製作所の東原敏昭社長が「2021年度までに結論を出す」と語ったようにグループ再編の方向性が決定したと考えられる。
そこで今回は日立グループの再編の背景を技術の観点から考察するために日立製作所および有力上場子会社であった日立化成、日立ハイテク、日立金属、日立建機について解析を行った。
最近、海洋でのプラスチック廃棄物に関する問題が大きな話題となっている。世界で生産されるプラスチック製品が増加し、それが投棄されることによって微粉化し、いわゆるマイクロプラスチックと呼ばれるものになる。プラスチックは化学的に安定であり、安価かつ加工性にすぐれるため、現代社会ではなくてはならない素材となっている。しかしこの化学的に安定という性質が裏目に出て、長期にわたり海域等に存在することになる。プラスチックによる汚染に対する一つの解は自然界でプラスチックが分解されることである。プラスチックによる海洋汚染が問題になっている今、生分解性プラスチックの技術開発動向およびプレイヤーに着目した。
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