車載配線基板に関する技術開発動向とプレイヤー
地球環境に対する関心の高まりに伴い、提示されるようになった概念の一つにプラネタリー・バウンダリーがある。これはストックホルムレジリエンスセンターが公表しているもので、9つのプロセスが取り上げられており、例えば気候変動では大気中の二酸化炭素濃度や放射線強制力、生物多様性では絶滅率などの限界値が定義されている。これを見ると二酸化炭素濃度などのほか、生物地球化学的循環で定義されている窒素やリンといった指標もすでに限界値を超えていることがわかる。これらは人工肥料等の利や生活排水、工業排水などにより海や湖など水域に流入することで富栄養化を引き起こす。とくに急激に悪化しているように見えるリンの、海洋等への流出を防ぎ循環させることは、生物地球化学的に非常に重要である。そこでリンの回収、再利用に関する日本での技術動向を明らかにすることを目的とし、日本国公開特許公報を用いた俯瞰解析を行った。
皆様ご存じのように愛知県の製造業と言えばトヨタ自動車(7203)をはじめ自動車産業が非常に有名である。トヨタ自動車が本社を構える愛知県豊田市は西三河地区と呼ばれ、このエリアにはデンソー(6902)やアイシン(7259)といった大企業の本社が存在し、自動車産業の集積地となっている。一方で静岡県との県境のエリアは東三河地区と呼ばれ、知る人ぞ知る多様な製造業の集積地である。今回は自動車で有名な西三河ではなく東三河のものづくりを俯瞰するべく調査を行った。所在地が愛知県東三河地区である企業の公開特許公報を基に分析を行い、分析にはVALUENEX株式会社が提供するテキストマイニングによる俯瞰ツールVALUENEX Radarを用いた。
世界の技術情勢を俯瞰すべく、WIPOに2024年に公開された全公報の分析を行った。2022年、2023年公開全公報分析に引き続き3回目となる。世界各国で特許制度が異なり、権利として守られる技術が各国間で同じでないなか、WIPOに公開された特許は、世界レベルで動向を調べるには適した情報源である。分析には比較対象となる基準があると分かりやすく、以前の2022、2023年の結果と比較することで、2024年における新たな動きを求める。分析手法にはVALUENEX株式会社が提供するVALUENEX Radar Fusionによる文書俯瞰解析手法を用いた。特許テキストの内容をトピックモデルによりキーワードの組み合わせであるトピックの組み合わせに自動で分解し、その各トピックのウェイトと共有度から内容を評価した。
CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization or Storage)は、二酸化炭素(CO2)を分離・回収し、資源として作物生産や化学製品の製造に有効利用する、または地下の安定した地層の中に貯留するなどの技術である。本技術は従来の「排出を抑える」アプローチに対し、排出されたCO2を「いかに活用・隔離するか」という視点が注目されており、今後ますます研究・実装が進展することが予想される。本レポートでは、学術文献データベース「Lens.org」に収録されたCCUS関連文献88,973件を対象に、VALUENEXのビッグデータ解析ツール「VALUENEX Radar」を用いて俯瞰的な分析を実施した。
最近では趣味の一つとして定着しつつある印象のある「3Dプリンティング」だが、3次元データを用いて材料を付け加えながら製品を造形する製造方法を総称して「付加製造(Additive Manufacturing)」という。付加製造には液状の硬化性樹脂を容器に溜めておき、紫外線やレーザーを照射しながら造形する方法や、主に金属製の粉末に対してレーザーや電子ビームで照射して溶融・凝固させて造形する方法などさまざまな種類がある。付加製造は複雑な形状の製品も作成可能で少量多品種生産に適しており、医療分野や航空分野等でも利用されている。当レポートでは、そんな注目が集まる付加製造に関して、開発トレンドと技術・課題について公開特許公報をベースに調査した。
2020年代に入り、持続可能な社会の実現に向けた技術開発が世界規模で加速している。そうした動きの中で、エネルギー貯蔵、ガス分離、触媒反応など多岐にわたる応用可能性を持つ「金属有機構造体」(MOF: Metal Organic Framework)は、その高い比表面積と構造多様性から注目を集めている。本レポートでは、このMOF技術をテーマに、グローバルな特許情報に基づく技術動向調査を行い、同技術の研究開発の構図や、応用分野の広がり、さらには近年の注目材料や手法について技術的観点から分析する。
日本の第一次産業を取り巻く環境は厳しい。農業に関しては2024年の食料自給率は38%であり、アメリカや中国など他国と比べて低い水準にある。さらに従事者の高齢化により第一次産業人口も減少。IT技術の活用や機械化を進めることができれば改善する可能性があるのではないか。現在IT技術は様々な産業で活用が進んでいるが、農業をはじめとする第一次産業ではどのように利用されているのか。耕運機や田植え機のように機械化している部分もあるが、作物の育成管理や野菜等の収穫は人力のイメージが強い。本レポートでは第一次産業でITを活用する技術について調査するべく、第一次産業に関連する特許分類とITに関連する特許分類が含まれる公開・公表・再公表特許公報を基に解析を行った。
警視庁の統計によると、侵入窃盗の認知件数は、2003年から減少に転じ、2022年まで減少してきたが、2023年は4万4,228件で前年比+20.9%と増加している。このうち住宅対象侵入窃盗は、2004年から2022年まで減少してきたが、2023年は1万7,469件で前年比+11.3%と増加。また、刑法犯が3年連続で増加していることが最近のニュースにあがった。日本では凶悪犯罪の発生件数は減少傾向にあるものの、高齢者を狙った犯罪ニュースや車両窃盗のニュース等、人々の不安を煽る事件は後を絶たず、防犯意識は必然的に高まっている。本レポートでは、防犯に関わる技術について俯瞰する。
昨年末にホンダと日産自動車が経営統合にむけた協議に入るというニュースが報道されたのは記憶に新しい。今年2月には両社の経営方針などの違いなどにより協議の打ち切りが発表され、これに反応してか鴻海精密工業による日産自動車の買収が噂されるようになった。鴻海精密工業の会長、劉揚偉氏はすでに日産自動車の大株主であるルノーと接触し「買収ではなく協業が目的」と語っており、新たな提携先として名乗りを上げている。本記事では日産自動車(三菱自動車を含む)と鴻海精密工業(シャープを含む)の特許を母集団として俯瞰解析することで、両社の技術的シナジーなど協業の可能性について分析を行った。
温室効果ガスの排出量削減が先進国の責務となっている近年、走行時にCO2を排出しないEV車はますます注目を浴びている。そのような中で2022年7月に、2023年からの日本市場への参入を発表した中国の自動車メーカ「BYD」は、大衆向けEVをメインに販売しており、2023年時点での世界EVシェアはテスラに次ぐ2位となっている。EVメーカーとして世界で着実に存在感を放っているBYDの保有技術にはどのようなものがあるのだろうか。また、EVをメインとしていない自動車メーカーと比べて注力領域に違いはあるのだろうか。これらを調べるべく、本レポートではBYDの特許に注目して俯瞰解析を行った。