最近、Googleが中国市場への再参入を検討している。今回は、SNSを手掛ける世界最大規模の総合IT企業であるTencentをパートナーとして選んだ。2006年の初参入時では、単独参入を行ったがうまくいかず2010年に一度撤退している。この失敗を踏まえ、パートナーと組んでの再参入である。2018年1月の発表では、「長期にわたる特許の共有で合意」したと言われている。但し、共有する内容について「幅広い範囲の製品と技術」と述べるにとどまり、詳細については語られていない。本報告では、具体的に、どの技術分野での共有がなされる可能性があるかを調べるべく、両社の特許の技術内容と、その技術類似関係を調査した。
Read More米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)は2017年12月9日、日立製作所子会社の日立国際電気について、日立製作所が保有する51.67%を除く日立国際電気の普通株式に対する公開買付けを完了したと発表した。KKRは近年日本企業の買収を活発化させている。2014年のパナソニックのヘルスケア事業を皮切りに、パイオニアのDJ機器事業、日産系サプライヤーのカルソニックカンセイ、同じく日立系の日立工機のTOBなど、いずれも技術開発を行う企業であり、各社の間に技術開発上の相乗効果が見込める可能性がある。本レポートでは、KKR傘下企業の国内特許出願を対象に各社の間の相乗効果を探った。
Read More医療ビックデータ・人工知能・IoTとライフサイエンス技術との融合は、医療や創薬のパラダイムを根底から変革し、P4医療に向けた動きを加速している。活躍が期待されているのが、関連分野のIT技術に特化し、創業されたベンチャー企業だ。2003年に創業したベンチャー企業Proteus Digital Health (PDH) はITと医薬品・医療機器技術を融合させた製品・サービスの研究開発を主事業とする。本レポートでは、①PDHの全体の特許を事例に、俯瞰分析を用いて、デジタルメディスン関連技術を抽出し、技術動向分析を行った。②PDHとノバルティスグループ、大塚製薬グループ の医薬品および医療機器技術の親和性評価に関して検討した。
Read More今、全固体型リチウムイオン電池(以下、全固体電池)に大きな注目が集まっている。東京モーターショー2017の記者会見では、トヨタ自動車・副社長のDidier Leroy氏が、全固体電池の2020年代前半の実用を目指していると述べた。更に、2017年12月には、ホンダや日産も全固体電池の開発に取り組んでいることを明らかにした。ますます電池がキーデバイスとなる。全固体電池の用途はEVだけではなく、超薄膜にすることでICカードやIoT端末への搭載当、用途の大幅な拡大が期待される 。そこで本レポートでは、日本国公開特許公報データをもとに、全固体電池関連の技術動向およびプレイヤーの分析を行った。
Read More2017年秋、かねてから米国で話題となっていたスマートスピーカーAmazon Echo・Google Homeが満を持して日本に上陸した。スマートスピーカーは搭載される音声認識アシスタントを介して、音楽の再生や家電のon/offなどができるデバイスである。米国では3500万人以上のユーザーがスマートスピーカーを利用しており、Amazon、Googleに引き続きMicrosoftやソニー、LINEなども続々とスマートスピーカー市場に参入を発表し、商品を投入している。 そこで今回はスマートスピーカーの基幹技術である音声認識技術について公開された特許を収集し、技術開発動向について調査を実施した。
Read More日本企業が関わるM&A件数は、年々増加傾向にある。M&A取引においては、対象会社の事業内容、経営の実態、経営環境、保有技術を詳細に調査するデューデリジェンスが実施される。ビジネス、ファイナンスDDなどは専門家が担当することが多く、手法やプロセスが確立されているが、技術DDは技術的分野が多岐にわたり、知財保有数が膨大であるケースである事案が多く、限られた評価期間では、量と質の両面で満足した技術的評価を実施することは困難と言わざるを得ない。本レポートでは、キヤノンによる東芝メディカルシステムズの買収を事例に、特許の俯瞰分析を用いて、定量的な技術親和性評価の可能性に関して検討した。
Read More再生可能エネルギー(RNE)の低コスト化が世界的に加速している。2017年に丸紅がアラブ首長国連邦で着手した大規模太陽光発電事業では、3円/kWh以下のコストを実現するとして話題となった。このまま低コスト化が進めば、RNE導入がさらに促進するものと考えられる。一方で、RNEを系統に大量に接続することはリスクがある。RNEによる発電は、まさに自然任せであり、太陽光発電をはじめとするRNEの発電量が電力需要を上回ってしまった場合、何らかの形で処分する必要が生じる。このような問題を回避する一つの手段として考えられるのが、RNEと蓄電技術の組み合わせである。そこで、太陽光発電と蓄電池の組み合わせについて、日本国内での開発動向を明らかにするため、日本国公開特許公報をリソースとしてクラスター解析を行った。
Read More2017年9月アップルからiPhone8・8Plusが発売された。11月に発売が予定されているiPhoneXも含めると様々な新機能が搭載されている。新機能のひとつ、ワイヤレス給電の分野への参入に挑んだ日本企業がいる。大手重電メーカーとして知られるダイヘンだ。同社は高周波電源を中心とした各種技術を組み合わせることでワイヤレス給電分野への参入を果たした。ダイヘンは大出力の給電ができるようワイヤレス給電用の高周波電源の開発をスタート、2014年に研究用電源システムを発売、2016年には無人搬送台車用ワイヤレス給電システムを産業機器分野において世界初の実用化にこぎつけるなど着々と事業展開を進めている。
Read More先日、Apple社がiPhoneの新型機を発表した。フラッグシップ機となるiPhone Xには事前の予想通り、有機ELディスプレイが搭載されることが示された。有機ELディスプレイは理論上消費電力が小さい、画質が良い等の利点があるとされ、最近発売されたスマートフォンの上位機種に搭載されることも多く、通常のテレビとしての販売も始まりつつある。有機ELディスプレイについては当初日本メーカーが積極的に開発を行っていたが、最近では韓国メーカーが積極的に研究開発を進めている。そこで、今回は、有機ELディスプレイについて、現在どのような研究開発がなされているのか、分析を行った。
Read More革新的な家電製品で知られるダイソン。サイクロン掃除機を皮切りに羽根のない扇風機や筒状のドライヤーなど独創的なプロダクトを次々に世に送り出している。苦戦する日本の家電メーカーを尻目に2016年度の売上高は前年度比45%増の25億ポンド(約3,625億円)を達成している。
今回はそんなダイソンの技術的な強みを把握すべく、ダイソンに関連する特許に対する技術俯瞰解析を行った。技術俯瞰解析ではダイソンの持つ技術的な強みが明らかになっただけでなく、ダイソンが新しいカテゴリのプロダクトを開発していることを発見した。さて、皆さんはダイソンが次に狙うプロダクトが何かお分かりだろうか?