鴻海精密工業はシャープを救済できるか

シャープの救済を巡る駆け引きが再び世間を騒がしている。産業革新機構が提示する3,000億円に対して、台湾の鴻海精密工業(以下、ホンハイ)が7,000億円で経営権を取得するとし、シャープの現経営陣が揺れているのである。2012年にシャープが経営危機に陥った際は、液晶事業の共同経営相手としてホンハイに出資を打診、ホンハイはシャープの先端技術が狙いとしているもとして交渉が進められたが、両社の中長期戦略に違いがあり、交渉は前に進まなかった経緯がある。そして、この4年間、ホンハイは着実に事業を拡大し、シャープとの交渉における立場が逆転してしまった。両社の事業およびその強みについて、保有技術を基に検証するため、米国登録公報を対象にして、俯瞰解析を行った。

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バイオマス燃料の技術遷移

我が国の電力エネルギー供給では、その90%近くが化石燃料によってまかなわれている。化石燃料のほとんどを日本は海外より輸入しており、多くを中東国に依存しなければならない。そのため政治情勢の変化に左右され安定した供給が難しい。更に化石燃料の使用は温室効果ガス排出等の環境負荷が大きい。そのため国内でのエネルギー生産が求められており、中でもバイオマス燃料は環境面、安全性を顧慮した代替エネルギーとして期待されている。 従来のバイオ燃料には栽培作物系と、廃棄物があげられていたが、近年では、微生物による燃料生産に関心が高まっている。例えばバイオベンチャー「ユーグレナ」が、横浜市や全日空などとともに「国産バイオ燃料計画」を発表した。同社は、世界で初めてミドリムシの屋外大量培養に成功し、「2020年にバイオジェット燃料を使った航空機の有償フライト、次世代バイオディーゼル燃料を使ったバスの公道走行」をうたっており、このミドリムシを用いた次世代燃料は世界も注目する技術であると言われている。

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新たなる課題“乗り心地性能”に挑戦するタイヤメーカー

2016年2月、ブリヂストンが無意識に溜まる「疲れ」を軽減するタイヤとして、「プレイズPXシリーズ」を発売した。従来、タイヤに求められる性能としては、走行安定性、低燃費、耐久性、ウェット性、静粛性、ドライ性能、乗り心地といったものが中心であった。そうしたなか、ブリヂストンは新しいコンセプトとして、実際に運転を行うドライバーを意識した製品を販売する。日本国内で成熟した市場のひとつとされるタイヤ業界において、新たな商品展開をするにあたり、一つの課題に限らず、複数の課題を対応した製品開発により、新しいコンセプトを打ち出す時代となりつつあることが推測される。そこで、近年のタイヤ業界においてどのような課題が発生し、また特定の解題解決に取り組む企業が存在するのかを、弊社の特許俯瞰ツールよる調査を試みた。

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トレーサビリティ向上のための技術的アプローチ

産業廃棄物処理会社が食品廃棄物を不正に転売した事件が報じられている。ある企業が、本来は廃棄すべき食品を横流しし、製品として流通させたとのことである。食の安全を脅かす事件として、企業や消費者に動揺を与える結果となった。この事件に関し、食品の廃棄の過程がトレーサビリティ (追跡可能性) の制度の対象範囲に含まれていないことが原因として指摘されている。食品の安全性に対する要求は、トレーサビリティの確保された食品の付加価値を高めることにもつながる。2015年12月に最初の登録が発表された地理的表示保護制度も、現代のニーズを反映している。こうしたトレンドから、コストを抑えながらトレーサビリティを向上するような技術が注目されていくものと考えられる。そこで、トレーサビリティを確保するための技術に関する技術開発動向を知るため、関連する日本国公開特許公報を収集し分析する。

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二度目のブームを迎えたバーチャルリアリティとプレイヤー

バーチャルリアリティの製品化が活発になってきている。米国ラスベガスで行われたCESではバーチャルリアリティに関連する製品が多く展示されていたとのニュースが流れた。韓国サムソンは2015年末にGear VRを発売しており、またソニー・コンピュータエンターテイメントは2016年にPlayStation VR用に100以上のタイトルを発表するとしている。 バーチャルリアリティはコンピュータを用いて人工的に現実感を作り出す1960年代に技術である。日本では1990年代にバーチャルリアリティブームがあったが、一度衰退している。当時と比較し、バーチャルリアリティに関する技術はどのように変化してきたのか。とくに日本国内でのバーチャルリアリティ技術の推移について、国内特許公報をもとに分析を行った。

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巻き返しをはかる国内ブラジャー開発

国内でのブラジャーの普及は、終戦によるこれまでの和服から洋服への流れを受け、1949年当時の和江商事 (現、ワコール (3591) によるブラパッド、それに続くナイロンブラジャーの大ヒットで普及が始まっている。だが、近年は、ブラジャー市場が縮小しており、巻き返しが求められている。その中で現れたのが2010年頃のノンワイヤブラである。これはワイヤによる締め付けのない付け心地の良さを求めた商品である。このような近年におけるブラジャーの国内での開発状況を、VALUENX株式会社が提供するテキストマイニングによる俯瞰ツールXLUSTechRadarを用いて国内特許から分析を行った。

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特許ポートフォリオからみた石油元売り業界の再編

2015年11月に石油元売り国内2位の出光興産と同5位の昭和シェル石油が両社の経営統合に基本合意した。本統合により生産量や生産効率の面で向上が見込まれ、石油元売り国内首位のJXホールディングスに売上高で大きく迫ることができることが当時の報道でも強調されていた。その1か月後の2015年12月、そのJXと同3位の東燃ゼネラル石油が両社の経営統合に基本合意し、出光と昭和シェル (約7兆6000億円) の2倍近い約14兆3000億円に達する石油元売会社が誕生した。再編の波が押し寄せる石油元売り業界だが、統合の背景には石油需要の減少がある。本レポートでは、出光、昭和シェルも含め、統合により生じうる技術的補完関係や、今のところ再編に関わっていないコスモエネルギーホールディングスの強み技術領域について明らかにし、石油需要の減少に抗いうる原動力の有無について考察する。

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【学術論文分析】コンテキストアウェアに関わる研究とその応用

近年、情報科学に係るキーワードとしてコンテキストアウェア (Context aware) という表現が多く見られるようになって来た。コンテキストアウェアは文字通りに理解するのであれば、「文脈や脈絡の気づき」といった意味になるが、ITの世界では「コンピュータがその先の状況や変化を捉える」といった意味合いで利用されている。コンテキストアウェアは今後のIT関連サービスにおいて重要な概念となると考えられるが、コンテキストアウェアという「文脈」のなかで、どのようなことが考えられているのかが不明瞭である。そこで、コンテキストアウェアを含む学術文献を収集し、その全体像の把握と応用先に関する分析を試みた。

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【学術論文分析】インダストリー4.0と要素技術-リファレンス情報を活用した詳細化-

ICTによる技術革新の影響は個人の生活レベルにとどまらず、ビジネスの世界にも及んでいる。そのひとつがドイツを中心に進められている、インターネットを活用した製造業の高度化を目指したインダストリー4.0(Industrie4.0)である。製造業に対しインパクトを持つインダストリー4.0であるが、そこにはどのような要素技術が関連しているのであろうか。またそれに関連する産業はどのようなものがあるのであろうか。ここではインダストリー4.0を構成する要素技術について、学術文献情報をリソースとして分析を試みた。

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【学術論文分析】ソーシャルネットワークとその活用に関する研究動向

インターネットやスマートフォンなどの普及に伴い、ソーシャルネットワーキングサービス (SNS) が活発になっている。SNSの主たる目的はコミュニケーションであるが、そこには多種多様かつ大量の情報、いわゆるビッグデータが存在していることになる。そのため、SNSから情報を抽出し解析することで、コミュニケーションとは異なる目的への応用が検討されている。今後さらに広がりを見せることが期待されるSNS情報の活用であるが、研究開発はどのような状況になっているのであろうか。ここではSNSを研究対象に含む学術文献をリソースとしてクラスター解析を行うことで、SNSに係る研究開発の取り組みについて分析を行った。

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