セトラスホールディングス

 
特許文献にあまり馴染みの無い方々と話をする際に、アウトプットが直感的でわかりやすいVALUENEX Radarが一番良いという判断をしました



社名
セトラスホールディングス株式会社

POINT

  • 特許文献に馴染みの無い方へも、直感的でわかりやすいアウトプットを評価
  • IPランドスケープは今後の事業拡大で必須、社内の期待に応えるべくツールを導入
  • 俯瞰図の出力ロジックを事前に丁寧に説明し、縦線横線は非表示にするといった見せ方の工夫をして活用
  • 被引用情報や、物質の性質や作用の観点で母集団を作成し、R&Dの方の興味を惹く新規用途を発見
  • 将来の顧客や自社技術転用先などに関する示唆を得られて、経営層の関心事にも応えられる手応えを実感
  • これまでと異なる結果を得られて自身のレベルアップにも繋がる。知財活動の展開で部門を超えた共通言語として有用

セトラスホールディングス様は、今年10月1日に協和化学工業のHD化にともない誕生した新しい企業様です。協和化学工業は自然環境豊かな四国の瀬戸内海に面した塩田跡地を開発拠点にして、難燃剤、塩ビ安定剤等の化学品事業や、緩下剤といった医薬品事業を中心とした製品を世界中に販売されている企業様です。近年では新規事業として、アグリバイオ事業やフード事業にも注力し、事業領域の拡大を進められています。今回、VALUENEX Radar Documentsをご利用頂いている知的財産部の東村様と松田様に、ご導入背景やご利用方法について、お話を伺いました。

 
 
 
 

東村 恵理様
知的財産部
知財インテリジェンス課
課長
AIPE認定 知的財産アナリスト
 

松田 隆子様
知的財産部
知財インテリジェンス課
弁理士、博士(理学)
AIPE認定 知的財産アナリスト
 
 

ご導入経緯について


重心分析など企業同士のシナジーがわかりやすい機能がある点も有用だと判断しました

貴社や所属されている知財インテリジェンス課について教えてください。

松田様:弊社は無機化学を中心とした化学メーカーで、本社は香川にあります。瀬戸内海の原水を使った酸化マグネシウムおよび水酸化マグネシウムの生成と、世界で初めて工業化に成功したハイドロタルサイトを事業の柱としています。近年ではアグリバイオ分野での新規事業立ち上げや、従来の「粉」を作る会社というイメージから転換し、下流の製品への事業拡大を図っています。

こうした背景から今年の四月から知財部も知財創出課と知財インテリジェンス課の二課体制になりました。知財創出課は出願権利化業務や、他社権利対応等をしています。私と東村が所属する知財インテリジェンス課は、戦略等を立てるための材料を上層部に提供していく活動を行っています。

VALUENEX Radarの導入に至った経緯を教えてください。

松田様:今まで私1人が知財インテリジェンス課の先駆けとなる特許分析活動に取り組んできましたが、活動をより良いものとしていこうとしていたところに東村が入社し、その一環でVALUENEXを契約したという流れです。

東村様知財インテリジェンス課から事業責任者や経営層のような特許文献にあまり馴染みの無い方々と話をする際に、アウトプットが直感的でわかりやすいVALUENEX Radarが一番良いという判断をしました。知財とあまり縁の無かった人と情報共有をするという点においては、重心分析など企業同士のシナジーがわかりやすい機能がある点も有用だと判断しました

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特許活用の取り組みについて


事業を大きくするにはこれから会社としてIPランドスケープの活動を必ずやっていかないといけない

特許分析活動はどのように社内で発展してきたのですか?

松田様:過去には体制が整っていなかった時期もありましたが、三年前に現・知財部長の近森が入社し知財部が発足しました。彼が前職でIPランドスケープの活動を実施していた経緯もあり、新規事業開発や事業を大きくするにはこれから会社としてIPランドスケープの活動を必ずやっていかないといけない、と社長にかなりプッシュしたということを聞いています。こうした近森の取り組みもあり、IPランドスケープを進めるにあたっては上層部もR&Dもとても協力的で、進めやすい環境になっています

東村様:知財部長の近森は執行役員であり、そのような点から経営層やR&Dの責任者へアプローチしやすくなっています。IPランドスケープは知財だけの活動で止まってしまいがちですが、経営層にもR&Dにもアプローチをかけられるキーパーソンがいるところが、弊社のIPランドスケープ活動の強みだと考えています。

特許情報の解析テーマはどのように決められていますか?

松田様:上層部の考えを組み込んで進めるので、解析テーマはある程度決まっている面もあります。昨年は外部環境分析を中心に取り組みました。一方で、今年は環境問題に関するテーマへの取り組みや、自社の強みを新規事業に繋げるアイディア出しなど、知財インテリジェンス課からの更なる発信を期待されています。社長までの距離も近いので、今年は様々な発信をしていきたいと思っています。会社としては現在変革期でドラスティックに変化しているので、知財のプレゼンス向上に取り組みたいと思っています。

東村様:知財部主導で動いて欲しいと言われており、その期待に応えるためにも武器としての分析ツール揃える必要があり、その一つとしてVALUENEXも導入しました。アウトプットをこれから出していきたいと思っています。

VALUENEX Radar以外のツールの検討はされていますか?

東村様:VALUENEX Radarの導入の際には、テキストマイニングで主成分分析が出来るツール等と比較しました。実際の細かい考察をしていく際、VALUENEX Radarの機能がとても融通が利くものでしたので、他のツールより良いと判断しました。

今後のVALUENEX Radar以外のツール導入については、日頃参加するIPランドスケープ関連のセミナーで登壇されている企業の方が、”IPL三種の神器”と称している分析ツールもあり、そこにVALUENEXも含まれていますが、そうしたツールの検討も進めていきたいと思っています。


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ツールのご利用について


俯瞰図が直感的にわかりやすいので受けが良く、技術者の方の興味喚起や動機付けにも寄与

ツールを利用した際の印象はいかがでしたか?

松田様:細かいパラメータや見せ方については今後勉強が必要かと思っていますが、分析を始める上で難しくて嫌になるといった事はありませんでした。

東村様俯瞰図が直感的にわかりやすいので受けが良かったです。また、ClusterMapViewer※にある活性領域機能は、実際の文献を読んだ感覚と少し異なる場合もありますが、分析の内容によっては技術者の方に興味を持ってもらいやすく、動機付けの面でも有用かと思っています

分析結果の共有時にはどのような点に留意されていますか?

東村様:どういったロジックで出力されているビジュアルなのかを、前もって丁寧に説明をしてから結果を見せるようにしています。クラスタが集まっているところは技術が集積していて、疎になっている所はホワイトスペースの可能性があるという説明や、こうした俯瞰的な見せ方をしている特許分析ツールは珍しいものの、可視化ロジックのベースには分析手法として確立されたものが使われているので、素性のわからないものではないということを伝えています。

また、俯瞰図に縦線横線が入ったまま提示してしまうと、「X軸Y軸はどのように考えるのですか」とよく聞かれます。VALUENEX RadarはX軸Y軸を意識しない分析なので、俯瞰図を見せる際には縦線横線を必ず非表示にして、余計な誤解を生じさせない工夫をしています。

※ 現在は後継製品として「VALUENEX Radar アプリ」をご提供しております、 詳しくはVALUENEXまでお問合せ下さい。

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トライアル時の取り組みについて


R&Dの方にも興味を持ってもらえる面白い新規用途を発見。将来の顧客や自社技術転用先として目指せる企業の示唆などもあり、経営層の関心にも応えられる手応えを実感

トライアル利用時の取り組みについて教えてください。

東村様:自社製品を適用できる最終製品やアプリケーションを探したいという新規用途探索の依頼を、トライアル実施前に受けていました。そのような依頼であればVALUENEX Radarを使えば面白い新規用途が見えるのではないかと思い、私がメインで分析をしつつ、松田が操作に慣れる意味も含めて、同じテーマの分析をお互い違なるアプローチでVALUENEX Radarを使った分析をしてみました。出た分析結果を二人で照らし合わせたところ、類似の傾向が見えると共に、面白い新規用途が見つかりました。予想通りの従来の既知の用途が出力される中で、頭の片隅にはありつつも今までのメジャーな用途に引っ張られて注目していなかった新規用途が見つかり、フィードバックをしたR&Dの方にも興味をもってもらえました。

お二人それぞれでどのような分析をされたのでしょうか?

東村様:物質の名称でそのまま母集団を作って解析してしまうと、今まで見たことのある結果ばかりしか出てこないという状況がありました。そこで、特許分析で被引用公報から新たな用途を見つける手法がよく行われることから、VALUENEX Radarでも母集団に被引用情報を加えて分析を行ってみました。用途が書いてある要約に対して、俯瞰図を生成するオプションでウエイトを強くかけるなど、用途で似た公報が集まりやすくする工夫もしてみました。その結果、頭の片隅にはありつつも今までのメジャーな用途に引っ張られて注目していなかった新規用途が見つかりました。

松田様:私は物質の性質や作用などの観点から母集団を作り分析してみました。すると、双方の分析で同じ内容の用途を発見することができ、物質のメカニズム的にも問題なくいけそうな手応えを感じられるテーマの発見がありました。R&Dの方々へ分析結果を共有したところ、双方の分析で重複して出てきた用途は特に強い興味を持ってもらうことができました。

物質の性質や作用の母集団とはどういったものなのでしょうか?

松田様:例えば弊社の製品の一つ、層状の化合物ハイドロタルサイトは、層の中にいろいろなものを取り込むインターカレーションという反応を起こします。そこでインターカレーションに関連する言葉を使って母集団を作り、ハイドロタルサイトという言葉を使わないようにします。これは、ハイドロタルサイトと同じ作用をする物質を見つけ出し、そこから新規用途を見つけ出すというイメージです。新規用途分析では、今までは使われていなかったもの、これから使える可能性がある1歩先の情報を取得しないと、新しいものは見つからないかなと思っています。

トライアル中の分析で他にも発見はありましたか?

東村様:未知の競合を見つけ出す重心間分析でも面白いアウトプットを得ることができました。重心間分析で近い将来脅威となると出てきた企業が、実は競合ではなく実際に弊社の商品の引き合いが来ている企業ということがありました。競合として見るだけではなく、将来の顧客になり得るという視点で見ることもできるのだと今回の分析でわかりました。加えて、技術的には遠いけれども近い将来競合になるかもしれない企業は、将来自社技術の転用先として目指せる技術を持った企業として検討する見方もできたりしました。クラスタから見るトレンド以外でもいろいろな示唆を得られて、面白い分析ができたのではないかと感じます。経営層に近い人間からすると、技術のトレンドだけではなく未知の競合や将来予測の話に関心が高い場合も多いため、重心分析を活用すれば、経営層への関心にも応えられる手応えを感じました。

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トライアルを終えて


分類で分けるよりテキストで全てを対象にできる方が、わかりやすいものが出てくる感覚はあります

特許分類を使った分析と比べた際の良し悪しはいかがでしたか?

松田様:特許分類は決められた分類に当てはめている分、きちんと分類がされていない分野もあったりします。分類で分けるよりテキストで全てを対象にできる方が、わかりやすいものが出てくる感覚はあります。分類で上位に来ても化合物の分類だったりしたら意味がないですし、その分類を全て確認するのは大変です。そうした意味ではクラスタになっている箇所を転々と見て、面白そうなところを上げていくのは、私が今回初めて取り組んだ感覚としては、やりやすいですし、わかりやすいものが短い時間で出てくる印象を抱きました。

結果を社内に共有した際の反応はいかがでしたか?

東村様:この分析方法でさらに用途探索をしてみようという動きがありましたし、特定企業について深堀をして自社の開発の参考としてみたいというフィードバックが返ってきました。トライアルで得られた結果の共有について今回は私たちから直接ではなく、知財インテリジェンス課の新たな活動の紹介とともに、近森を経由して社内に共有してもらいました。今後は分析の依頼者と直接会って話をするような場作りを進めている段階ですので、本格的に分析のフィードバックを得ていくのはこれからかなと思っています。

VALUENEX Radarを使う上でどのような事が大切だと思われますか?

東村様:仮説設定だと思います。こういった母集合を作り、こういうツールにかけたら、恐らくこのような結果が出て、それを読み込んでいけば、自分の欲しい情報が得られるのではないか、という粗方な仮説、分析についてのストーリーを作ってから分析を進める事を意識しています。それで自分が思った通りの結果が出れば、自分の仮説が正しかったということでそのまま分析が進められますが、違う結果が出た場合、むしろそこからがスタートではないかと思います。母集団の作り方を間違えているからノイズなのか、それとも実際に現実を示しているのかなど、そこから分析の醍醐味が出てくると思います。いきなり分析を始めずに、事前に分析の方向性をある程度定めてから進めば、例え自分の仮設とは異なる結果が出たとしても有用な結果となり得ます。

松田様:私も事前に仮説やイメージを持って進めます。分野やテーマによって仮説を立てにくい場合には、仮説を立てるためのプレ分析をまず実施して、現状認識をしたうえで仮説を立てて、もう少し深掘っていく、という流れで進めることもあります。最初のプレ分析ではなるべく結果をすぐ把握したいので、俯瞰図が簡単に作れるのはありがたいですね。

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導入検討中の企業様へ


今までの方法では出なかった結果を得られ、自身のレベルアップにも繋がる。知財活動の展開で部門を超えた共通言語として有用

導入を検討されている企業様へ一言お願いします

東村様:知財に関わっている人は同業界の人間ばかりで固まってしまい、何も言わなくても自分たちの慣れ親しんだ文脈で話をしてしまう事も多いと思います。そうした背景から社内で知財の重要性をわかってもらえずマイナー部署になってしまうことがあります。今後知財活動を必要としてもらうためには、あまり関係が無い人にも専門的な言葉を使わず、お互いの共通言語として話せる方法が必要です。そうした面でVALUENEX Radarは有用ですので、社内で知財活動を展開する際には、是非使っていただければ良いのではないかなと思います。

松田様:IPランドスケープの業務に携わる中で、自分の使ってきた以外のツールは今まで手を出しにくく、操作方法などが難しい印象を持っていました。今回トライアルを実施してみたところ、思ったよりも簡単に欲しい結果を得られてすごくありがたかったです。いろいろなツールや分析方法を試してみる事の重要性を改めて感じました。新しい観点から分析を進めていければ、今までのツールや分析では出なかった結果も取得出来ると思いますし、自身のレベルアップにも繋がるのでお勧めします

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インタビューへのご協力誠にありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。



掲載内容は取材当時のものです (2022年10月31日掲載)